1.地方分権改革   2.思春期を迎えた青少年の健康づくり .  3.障害者自立   4.コムスン問題
  5.伝統産業の振興   6絶滅危惧種「トウサワトラノオ」の保全   7.下野市の道路整備   8.下野国分寺跡と下野薬師寺跡の整備

1 地方分権改革について
 最初に、地方分権改革について知事にお伺いします。
 地方分権改革が目指すものは、国と地方の役割分担を明確にし、地方の自己決定の範囲を拡大しまして、地方の自主性を高めることにあります。これによりまして、地方自治体は地域の総合的な行政主体として、自主的・自発的な判断に基づいて、住民に身近な行政を効率的に処理することが可能になるとされているわけであります。
 福田知事は昨年の2月議会の所信表明で、国と地方の三位一体改革にふれまして、「3兆円の税源移譲が実現したが、これは負担割合の変更や地方への負担転嫁が中心で、地方の自主性を高め、裁量を拡大するという地方分権の理念に合致したとはいえない。」また、「地方交付税は、地方財政計画や歳出規模の抑制により減額になった。」と述べておられます。また今年の2月議会でも、「3兆円の税源移譲は、単なる負担率の変更など地方への負担転嫁が中心であるし、国と地方の役割や税源配分の見直しは全く手つかずの状態にある。」との認識を示されて、「第二期地方分権改革は、国と地方の役割分担と税源配分の抜本的見直しをして、地方が真に自立できる分権型の行政システムを確立することこそが、目指すべき姿である」と述べているのであります
 これまでの地方分権の作業は、財源移譲、国庫補助負担金改革、地方交付税の改革といった三位一体改革を中心に進められてきたとはいいましても、この地方分権の理念が押し曲げられないで、目指すべき本来の姿があらわれるのはまだ先のことかもしれないという忸怩たる思いが私にはあるのであります。地域社会の現実をみますと、少子高齢化は止まるところをしらず、団塊の世代はぞくぞくと地域社会に帰ってくる。地域の産業・経済は今後見通しが不安定であるなど様々な要因を考えますと、この分権改革は早く成し遂げなければという思いを強くするのであります。
 新たに立ち上がりました第二期の分権改革推進委員会の発足にあたり、全国知事会や議長会など地方6団体は声明を出して、地方分権改革の目標を「地方にできることは地方が担い責任を持つ」原則の下に、「国が決めて地方が従う」という中央集権型のシステムからの転換で、財政再建の手段としての地方分権改革ではなく。地方が自立し互いに支えあうことのできる住民福祉の向上を目的にしたいとしています。その「財政再建の手段としての地方分権改革ではなくて」というところが重要でありまして、まさに真の改革がこれから始まるとの決意の表明と私は読んだのであります。
 さて、「三位一体改革」を始めとするこれまでの改革は未だ道半ばでありまして、地方への権限や税源の移譲など多くの課題が残されていることを深く認識して、県・市町村が連携して、第二期改革を力強く推進していくことが極めて重要であります。そこで、県民中心・市町村重視の県政を推進してこられた福田知事は、今後の県と市町村のあり方を含め、国が進めようとしている地方分権改革にどのように関与していこうとしているのか、知事に伺うものであります。

2 思春期を迎えた青少年の健康づくりについて
 次に、思春期を迎えた青少年の健康づくりについて伺います。
 青少年の発達段階、特に思春期にある青少年は精神的にも身体的にも発達や変化が激しい時期でありまして、心や体に多くの悩みや不安を抱える時期であります。これらの悩みや不安に誰がどう答えるか、サポートするかということは大きなテーマであります。様々な報告をみますと、親は相談相手からはずされ、家族もまたはずされ、教師もまた信頼すべき相手になれないようであります。この時期の青少年は、殊に性に目覚め、性への関心が高まりを見せるわけでありまして、この自分の体の変化や異性への関心の高まりが、必然的に性行動へと結びつくのもまた自然の流れであります。
 しかし、栃木県においては、人工妊娠中絶全体に占める20歳未満の割合が平成9年から4年連続で全国ワースト1位になるなど、全国に名をはせた時期もありましたし、昨今の傾向は若干の低下の方向にあるとはいいますが、気の抜けないものがあるわけであります。
 私は、この時期までに性に関する正しい知識や情報がもたらされているかどうかが、つまり、どのような教育がなされてきたかが、重要な課題の解決策になるものと考えていますが、性行動において性の自己決定の考えを前提にしながらも、クラミジアや淋病など性感染症に罹患したり、望まない妊娠を回避することが、思春期の青少年の健康を守り育てることになると思うのであります。
 そこで、思春期の青少年の性感染症の罹患や人工妊娠中絶について、県の現状認識と今後の対応策を保健福祉部長にお伺いいたします。

3 障害者自立支援法のものでの障害者の所得向上について
 次に、障害者自立支援法のものでの障害者の所得向上について伺います。
 働きたいという障害者の気持ちを本気で支援して、意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう、ひとり一人の能力や適性に応じた支援を行う「就労移行支援事業」を創設するなど、障害者が自立して地域であたりまえの生活が営める社会の実現を目指して、障害者自立支援法が施行されました。昨年4月のことであります。この制度の根幹に利用者負担の制度化、受益者負担の原則が導入されたことによりまして、利用者の減少などが心配されておりましたが、心配されたほどの減少はなかったと聞いております。しかし現実には、収入の道をなかなか見出せない障害者とそのご家族などにとりましては、1割の自己負担は重く苦しいものであります。
 今回、平成20年度までの特別措置が講じられましたが、法施行後1年も経たないうちに、早くも特別対策を講じなければならないということ自体が、サービス利用者にも、サービスの提供者サイドにも苦しい事情の存在を読み取ることができるのであります。今度の対策は、関係者が円滑に障害福祉サービスを実施し、利用できるように緊急的・経過的な対策とされていまして、18年度から20年度まで実施されるのでありまして、栃木県では18億円の事業費が投入されるものと伺っております。
今回の対策で利用者負担の軽減措置がとられたわけですが、それも軽減措置であって、しかも20年度までの期限付き措置ということですから、21年度以降は当初の水準に戻るわけであります。地域で自立した生活を営むためには、一定程度の収入の確保が必要になりますが、授産施設の全国平均工賃は、月額15,000円程度であり、場合によっては工賃より通所の利用料金の方が大きいため、通所を控える障害者もいて、そのため運営が苦しくなった施設もあると聞いております。
 そこで、特別措置が摂られている今後2年間で、施設の安定経営のためにも、障害者の収入を増やすための努力をしていく必要がありますし、やらなければならない課題でもあると考えるものでありまして、障害者が安定した地域生活を送れるような収入を得るためには、施設と企業が結びついたネットワークの構築や授産施設等に企業的ノウハウを蓄積していくことが必要であると思いますが、県としてどのように取り組んでいくのか保健福祉部長に伺います。

4 コムスン問題について
 去る6月6日に厚生労働省から、訪問介護最大手のコムスンが、介護保険事業所の指定打ち切りの指導を受けた問題は、コムスン1社の問題にとどまらず、介護保険制度のあり方を問う、大きな問題につながりかねないと思うのであります。つまり昨今の急速な高齢化を受ける形で、2000年施行の介護保険制度では、在宅サービスに限って営利企業にも門戸を広げたわけでありますが、今や要介護者の増加によりまして訪問介護事業所の54パーセントが営利企業によっているという厚生労働省のデータがあるのであります。
 このように、現在、営利企業は在宅サービスには不可欠の存在になっておりまして、これを元に戻すわけにはいかないのでありますし、この福祉、社会保障の分野で市場化の実施に踏み切った最初のケースが介護保険であったわけですから、ここできちんと対応しませんと、利用者が安心して民間事業者に介護サービスをゆだねることができなくなる恐れもあるのであります。
 そこで、介護保険事業所の指定権限は知事にあるのですから、県は、指定権者として各事業所が適正に介護サービスを行っているかどうか、しっかりと指導監督をしていく必要があると思いますし、今までもしっかりとやってこられたものと思うのですが、これまでの県の取組状況について伺うものであります。
 また、コムスンが運営する訪問介護事業所の指定打ち切りにともない、県内の7市町に述べ1000人ほどの利用者がおられるものと伝えられていますが、コムスンを利用する方々の不安解消に、県としてどのように取り組んでいくのか、併せて保健福祉部長に伺うものであります。

5 伝統産業の振興について
 次に伝統産業の振興についてお伺いします。
 今、地域の伝統産業は、工業化がすすみ、経済のグローバル化がすすみ、海外からの安い製品が入り消費動向が変わっていくなどの諸要因によりまして、たいへん苦しい局面に追い込まれております。鬼怒川・田川沿いに発達し、長い歴史を有する結城紬もその例外ではありません。
 結城紬は、隣接する茨城県結城市周辺と本県では下野市をはじめとして小山市、上三川町、二宮町で生産され、生産量的にも茨城県と本県が二分する、本県を代表する伝統工芸品の一つであります。昭和31年には重要無形文化財、昭和52年には伝統的工芸品に指定されておりまして、古くからの伝統技法を厳格に守り、厳しい生産管理のもとで生産されて、高い評価を得ているのであります。
 しかし近年は、生産量の減少、後継者不足、価格の低迷に苦しんでおりまして、このままではこの伝統ある産業が衰退してしまうのではないかと、本当に心配しております。先日、新聞で、デザイナーと手を組んで、伝統工芸品を大胆に再演出した製品を作り上げ、成功した例が紹介されていましたが私は、これまでの伝統を大切にしながらも、新たな需要の開拓をする取組がぜひ必要であると考えているのでありますが、しかし、伝統産業は、零細な企業が多く、また、伝統的な流通販売経路を守っていることもありまして、新たな需要の開拓に対応することが難しいのが現状です。
 そこで、先行き見通しの立てにくい結城紬などの伝統産業の振興に、県としてどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長に伺います。

6 絶滅危惧種「トウサワトラノオ」の保全について
 次に、絶滅危惧種「トウサワトラノオ」の保全についてお伺いします。
 先日、下野市の旧南河内地内で、県内では既に絶滅したとされていた、サクラソウ科の多年草「トウサワトラノオ」が群生していることが確認されたとの発表があり、メディアで大きく報道されましたのは記憶に新しいところであります。この「トウサワトラノオ」は、環境省のレッドデータブックでは、最高ランクの絶滅危惧種に指定されていまして、県内では、1955年に小川晃一氏によりまして、宇都宮市下横田町の田川河畔で確認されて以来のことであり、全国的にもわずかな群生地しかないようでありまして、専門家によりますと、希少性は極めて高いとのことであります。
 このような貴重な植物が、身近な所で群生していることは、驚きでありまして、私は、自然環境の喪失が心配される今日、早急に保全策を講じていく必要があると思います。今回、この「トウサワトラノオ」が確認された場所は、県が事業主体となって農地のほ場整備を進めている「江川・五千石地区」の中でありまして、今後、この群生地を含んだ区域の工事が予定されていると聞いております。
 ほ場整備は、水田の区画を拡大することによって、農業生産性の向上を図るために有効な事業ではありますが、一方で、農村地域には、多様な生態系を保全する機能があるのでありまして、こういった貴重な植物を後世に残していくなどの、環境に配慮した整備をすることも必要であると思います。
 そこで県は、ほ場整備事業を推進する中で、「トウサワトラノオ」の保全に向けて、どのように取り組もうとしているのか農政部長に伺います。

7 下野市の道路整備について
 次に、下野市の道路整備について、お伺いします。
 県におきましては、国道四号に並行したとして整備に着手したと聞いております。しかし、その南、県道笹原壬生線から現在の下野市役所に至る、都市計画道路を整備して初めて、旧石橋町と旧国分寺間がつながることになるのでありまして、新生下野市の今後の発展のために欠かせない道路として、この区間の整備にむけた6万市民の期待は大変大きいものがあります。また、この道路を整備することによりまして、並行して走る国道四号の慢性的な渋滞緩和にもつながるものと思います。
 そこで、石橋第三工業団地から南側へ約1.5キロメートル区間の整備の状況と今後の見通しと、笹原壬生線から下野市役所に至る都市計画道路の整備計画について、県土整備部長に伺います。

8 下野国分寺跡と下野薬師寺跡の整備について
 最後に、下野国分寺跡と下野薬師寺跡の整備についてお伺いします。
 下野国分寺跡と下野薬師寺跡は大正10年3月3日、足利学校とともに栃木県で最初の国の史跡として指定されています。国分寺は「天平13年(741年)に聖武天皇により「建立の詔を発する」とされていますから、東国にあって1200年余の歴史をもつ大史跡であります。下野薬師寺もまた7世紀末に、律令国家の基盤整備段階で建立された、7万4千平方メートルにも及ぶ大史跡でありまして、奈良東大寺、九州は筑紫観世音寺とともに天下の三戒壇とも言われていたのであります。
 国分寺の東方600メートルに国分尼寺、推定東山道の延長方向南西3キロメートルに下野国庁跡、北東7キロメートルに薬師寺跡と、この地一帯は奈良・平安時代にかけて下野国の政治・文化の中心地であったのであります。その国分寺は昭和57年から段階的に調査が行われ、薬師寺もまた昭和41年からこれまで20数次にわたる発掘調査が行われているのでありますが、両史蹟とも整備事業は道半ばの段階にあるものと、私は考えています。
 これらの史跡を保存し整備して長く後世に伝えることは栃木県民の使命であるとおもいますが、県と市が長く史跡整備をすすめてきている中で、これまでの整備の考え方と今後の方針を教育長に伺います。

若林ずおの県議会一般質問(第289回 平成19年6月14日)