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TPPで日本農業の行方が心配な事態が生まれる

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を巡って第議論が起こっています。菅首相が参加に前向きな姿勢を示す(10月1日の臨時国会での所信表明演説)一方で与野党の農業の行く末を心配する議員たちが大方において反対の意思表示をする事態になっています。
 政府は11月上旬にも、「経済連携協定(EPA)に関する基本方針」を閣議決定する方針と伝えられ、その中に「TPPの協議に参加する」との文言を盛り込む方向だとされています。
 TPPは一切の条件や留保を認めないで、農業分野を含めた関税撤廃や投資の自由化を進める経済連携協定(EPA)の太平洋地区版とされています。事は、このTTP交渉に日本が参加を表明(管首相)したことに発し、それも突然のことで、その表明までは与党内にも議論さえないという事態が鮮明になっていた訳です。
 先頃の衆議院総選挙では、民主党のマニフェスト(第一次)に農産物を含み自由貿易協定(FTA)の締結と記されたことを記憶している方も多いことでしょう。批判を受けてあわてて修正ということになり、公式にはマニフェストには書かれなかったのですが、民主党の中には農業の貿易自由化論者が多々いるということは紛れもないことで、いったん隠れた(隠された)ということに過ぎなかったことが、今や表面化してきたという訳です。
 民主党が掲げた「米戸別所得補償」は米の価格低下をもたらす。小規模農業者保護に特化するだけで農地の集積をダメにし、意欲ある専業農業者の育成にも寄与しない。私はそう考えて、この政策を批判的にみてきましたが、それは戸別所得補償、つまり農家への直接補償を行うということがEPA等の自由貿易を推進するための地ならしだと考えてきたからにほかなりません。
 恐れていたことが現実になろうとしています。私たちは先ごろの尖閣諸島関連事件で、レアアースとかいう希少物質の中国による輸入差し止めで日本産業界が震え上がったことを思い起こさなければなりません。食料自給率40%の国で農業分野にも自由貿易をという政策は、レアアースどころの問題ではありません。TPPで日本の小規模農家は壊滅する。それは大いにありうることで、それも大して時間はかからない。私はそう見ています。今でさえアメリカやオーストラリアといった圧倒的な国際競争力をもつ国々から食料を輸入しなければならないのに、その上でTPPで関税撤廃、自由貿易体制をすすめればわが国の食料自給率は14%にまで低下(農林水産省予測)する中、どうやって1億2500万人の胃袋を安定的持続的に満たしていくというのでしょうか。
 菅民主党政府の危険な一面、それはTPPで顕在化した農業分野についても自由貿易志向だということ。マニフェストで片鱗をのぞかせ、それを撤回したかにみせて、また持ち出すという国民をまどわす手法をとるということ。米戸別所得補償政策はその手段、地ならしとして使われたということ。来年の畑作を含む戸別所得補償もそれに輪をかけて使われるだろうということ。ここではそれらのことを記しておきます。(2010年10月23日)

 


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